依頼者は長男の大学進学のために教育費を借り入れました。その後、二男も県外の私立大学に進学したことから家計が圧迫され、教育費や生活費を、借入れに頼らざるを得なくなりました。返済を続けてきましたが、新型コロナ感染症に罹患し、仕事を休まざるを得なくなり収入が減りました。また、夫も病気で仕事を休まざるを得なくなり、このままでは返済を続けることはできないと思い、当事務所に相談にいらっしゃいました。
子どもの教育費等の借入れが生活を圧迫し、借金が膨らんだ50代会社員女性の事例
- 性別:女性
- 年代:50代
- 職業:会社員
- 債務額:約550万円
- 手取り月収:約23万円(家族全体 約39万円)
相談の内容
結果
自己破産(同時廃止)の申立てを行いました。否認対象行為とされる支払停止前6か月以内に宗教団体へ送金していたこと、就職していた二男へ月約1~4万円の援助を続けていたことから、裁判所から管財事件にする旨の報告があり、約20万円の予納命令が出されました。即時抗告を申立てましたが、棄却され、簡易管財事件になりました。
管財人の調査の結果、①否認対象行為となる宗教団体への送金は、信仰や布教の意義を考慮に入れれば行為の有害性が大きいものとは言えないことなどから、②二男への援助は、親族でありやむを得ないところがあることなどから、それぞれ、否認権を行使するのは相当ではないと判断されました。また、これらの行為は依頼者の当時の収入に対して大きい金額とはいえず、破産につながる財産減少や債務負担にはあたるとはいえないと判断されました。
無事免責許可決定も得られ、借金は全額免除されました(受任から申立てまで約1.5か月、申立てから約7か月後に免責許可決定。)。